お問い合わせ
開催期間
2001年5月29日(火) ~ 8月31日(金)
鹿革に色や模様を施す技法の一つに燻があります。これは煙で燻して革を染める技法で、伝統的な染革の手法として古くから行われてきました。その代表的な例として、正倉院の「花喰鳥文鞍褥」や東大寺の国宝「葡萄唐草文染韋」などが知られています。
燻は煙で革をしなやかにし、水に濡れても硬直しにくくなるという働きがあることから、燻革は永く武具や甲冑に用いられました。近世に入ると燻革の独特な色調や風合が見直され、武士の革羽織や革袴として使われました。やがて革羽織は町人にも用いられるようになり、明暦の大火(一六五七年)以後は火事装束として用いられ、実用と共に伊達を競う人々の間でもてはやされました。また、その頃から貰入れ、巾着、財布、早道などの身の回り品にも、燻による様々な模様 が施されて広く流行しました。
燻は燻す材料や時間により色合が微妙に変化します。色合は主に藁による茶褐色系、松根(松脂)を用いる鼠色系、藁と松根を合わせた鶯色系があります。
現在では藁の煙で燻した後、松脂の粉で燻して色を定着させています。また模様を施す防染方法には、糸を用いて三本縞・交差縞を出す糸巻、トンボ模様・小桜 模様などの型紙による糊置があります。 燻は、現在では唯一印傳屋に伝承されている稀少な技法です。その技法は、漆付け・更紗技法と共に印傳製品に今なお活かされ続けています。
*この展示は終了しております。