- 2025年6月18日
- CATEGORY : 展示情報
縞(しま)の模様は主に直線を平行または交叉して並べた単純な幾何学的模様をさし、印傳や鹿革工芸品の模様にも取り入れられています。近年は縦縞・横縞・斜め縞・交叉縞・格子縞・その他のモチーフと組み合わせた縞などがあり、変化に富んでいます。
縞模様は東南アジアの島々から舶来した織物によってもたらされたと考えられています。名物裂(めいぶつぎれ)として珍重された縞の織物は茶人に大いにもてはやされました。江戸時代後期に書かれた『守貞謾稿(もりさだまんこう)』の縞の項によると「昔ハ織筋と云今ハシマト云」とあり「おりすじ」と呼ばれ、シマになったことがわかります。また「昔ノ織筋ハ横ヲ専トシテ又大筋多シ」からは幅の広い横縞が主流だったことが絵巻物などでも見られます。縞模様は流行の先端をいく花街で好まれ、着物に取り入れられました。その後、太さや間隔・色味や濃淡をつけた多様な縞が表れ、粋や洒落・伊達を競う精神性も反映されました。
当館の鹿革工芸品では燻(ふすべ)の技法を用いた縦縞の資料が多く遺されています。鹿革を貼った筒状の太鼓に糸を巻き、藁などの煙で燻します。糸を取り去ると防染された部分は白く残り、縞の模様が表れます。糸の配置や燻す回数などによって技巧を凝らした様々な縞が生み出されました。
今回は古典資料から近現代の資料まで様々な縞模様を陳列しています。多様な縞の構成をお楽しみください。
【印傳の模様 ―縞— 令和7年6月21日(土)~9月7日(日)】
*7/19(土)~8/31(日)小・中学生入館無料
「伝統工芸×金融スタンプラリー」
山梨中銀金融資料館・帝京大学やまなし伝統工芸館の三館合同でスタンプラリー実施!(7/23~8/29)