印傳の型紙 -極小文の世界-

甲州印傳は「燻」「漆付け」「更紗」の技法によって様々な色や模様が施されています。それぞれの技法の中で型紙は印傳の模様付けに欠かすことの出来ない道具であり、古くから使用されてきました。印傳の型紙は「伊勢型紙」で知られる三重県鈴鹿市白子町に特別注文しています。着物の型紙と比べ、やや大き目となっています。
型紙はまず型地紙作りから始まり、繊維の多い美濃和紙を柿渋で固めて作ります。彫りの種類は「突彫り」「錐彫り」「道具彫り」「縞彫り」の四種があり、単独の彫り方もあれば一枚の型紙にいくつかの彫りを組み合わせて出来たものもあります。彫刻に用いる道具も職人が製作し、模様によっては数十種類必要となります。型紙を彫る作業は根気を要し、高度で繊細な手仕事といえます。
甲州印傳における型紙の使用は江戸時代まで遡ると考えられています。型紙の普及によって鮫小紋のような精緻な模様が表されるようになると装飾性が増し、また均一な模様付けが可能となり効率化も進みました。
今回は極小文の印傳の型紙を中心に展示しています。手彫りの美しい型紙の世界を様々な鹿革工芸品や道具とともにお楽しみください。
【印傳の型紙-極小文の世界- 平成31年4月20日(土)~令和元年9月29日(日)】