印傳博物館 収蔵品展2020 ―古典作—

皮革の利用は原始時代にまで遡ると考えられています。身近な牛や馬などに比べて鹿革は線維の組織構造が細かい為、柔らかで滑らかな肌触りが感じられると共に丈夫であるという特性があり、様々な品が創られてきました。
当館収蔵の資料では合切袋や丁銀袋などの袋物や巾着などの提物・莨入・財布・服飾・武具・蹴鞠などがあり、形状や模様は時代や好み、服飾の変遷などによって多様化しました。
鹿革の主な装飾方法は染料による染め・藁などの煙による燻技法・撥水性を目的として表面に塗られた漆塗り・型紙を用いて模様を付ける漆付け・多彩な色彩を用いる更紗技法等があります。印傳博物館はこれらの伝統技法による作品を保管し、常時陳列している唯一の博物館です。日本人が得意とする細やかな手仕事と発想力は装飾の技術にも反映され、鹿革工芸品においての進化と発達に大きな影響を与えたと考えられます。
今回は収蔵品展と題し、鹿革が様々な場面で人々に使われてきたことを踏まえ用途別の展示をしています。それぞれの時代に求められた鹿革工芸品の数々をご覧ください。

【印傳博物館 収蔵品展2020―古典作― 令和2年10月17日(土)~令和3年2月28日(日)】
*休館日:令和3年1月1日・2日