- 2026年2月19日
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鹿革工芸品には燻しや染色、漆付けなどの様々な技法によって吉祥の意味合いを持つ模様が多く描かれています。幸福を呼び寄せ、災いを避けようと願う心は万国共通ですが農耕民族と呼ばれる日本人は季節の移ろいに敏感であり、四季に対する情緒的思考も育ちました。同時に日本では古来、全ての物に神が宿ると考えられ天象から器物に至るまで信仰の対象となりました。これらが礎となり「もののあはれ」や「わびさび」、「粋や洒落」など特有の美意識が生まれ、工芸品には祈りや願いを込めた模様が多用されました。
印傳の財布には富士山が多く描かれています。富士山は日本一の霊峰として崇められ、絵画や文学でもその美しさを礼賛しています。財布の内側に水辺や松などと共に描かれ、水墨画や浮世絵を模したものや日本独特の心象風景が表されているものもあります。小桜模様や菖蒲模様・正平模様は武運を願う心に通じることから戦国の世で好まれました。時代が下ると武具や馬具から転じて身の回り品へと姿を変え、現在では小桜の可憐さが多くの女性に愛されています。
企画展100回記念にあたり、収蔵品の多くを占める伝統的な模様をご覧いただきます。その数から、長く愛され人気の高い模様を窺い知ることができます。資料に宿る日本の心は現在の製品にも受け継がれています。
【企画展100回記念 印傳の模様ー美と心 ESSENCE OF JAPANー令和8年2月21日(土)~6月21日(日)】
