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開催期間
2006年6月11日(日) ~ 9月10日(日)
人類は太古の昔から火を利用するとともに煙の効用を知りました。 狩猟や火急の合図、食物 の保存、虫除けなど多様な用法を行ってきました。煙を染革に応用した技法が「燻」で、その歴史は古く、高度な技法が開発されたのは奈良時代のことで、代表的な例として正倉院の「鞍褥」や東大寺の「染韋」が知られています。
燻は印傳の各種技法の元ともいわれ、煙によって鹿革に色や模様を施す技法です。太鼓と称する大きな筒に革を貼り付け、回転させながら土竈から出る煙でいぶします。材料には主に稲藁が使われます。稲藁は稲作の盛んな日本においては入手しやすく、炎が出にくいことと革を柔らかくする効果もあります。それらが重要な要素となっています。稲藁の他に松葉や松根(松脂)の煙も利用されます。
煙で染められた鹿革を「燻革」といい、材料、時間、回数によって淡い茶色系や鼠色系の色調と濃淡を出し分けることが出来ます。微妙な色調と濃淡は今でも職人の熟練した勘と技術によります。
模様を施すには、糊置・型置・絞りなどがあり、燻独特の技法が糸掛けです。白く残る模様を考慮し、ものさしを使いながら糸を巻き、いぶした後、糸を外すと模様が残るという防染方法です。糸の巻き方の工夫により、糸目巻・縞巻・格子・菱形・鶉巻・水巻など多くの模様が生み出されました。
軽く丈夫で、通気性の優れた燻革は、鎌倉・室町時代には武将の武具や甲冑などに利用されました。江戸時代になると火事装束にも用いられ、また莨入れ、財布などの携行品として人々に多用されました。燻革はその風合が愛用され、卓抜した意匠を身に纏って粋や伊達を競い合っていたようです。
現在でも燻技法は選出された職人のみに伝承され、印傳製品の今後にも示唆を与えています。
*この展示は終了しております。