印傳の模様ー鹿革に見る草木ー

植物は何時の時代も模様の題材として取り上げられています。
それらは鹿革工芸に描かれた模様の中でも特に多く、漆などを用いた独特な装飾方法によって様々な表現が見られます。
五弁の花びらの愛らしさが親しまれている小桜模様は、かつては桜の趣の潔さから武士に好まれ、鎧兜の一部に用いられました。
同様に菖蒲の模様は、邪気を祓い疫病を防ぐといういわれを持ち「勝負」「尚武」に音が通じることから武具の装飾に多用されました。
また、身近な品に縁起を担ぐものを取り入れる風習から松や菊、蔓状の植物など多様な植物が模様として用いられ、具象的表現や細部を省略した図案なども生まれました。
日本には四季があり、季節の移ろいを慈しむ豊かな感性や特有の美意識が育まれ、植物の模様は時代を超えて人々を魅了しています。
「燻」や「漆付け」「更紗」といった模様の加飾技法を用いて鹿革工芸に描かれた草木をご覧ください。
【印傳の模様 ―鹿革に見る草木— 令和5年6月24日(土)~9月10日(日)】
*7/22~8/31小・中学生入館無料