印傳の莨入

印傳の莨入

刻み莨と煙管による喫煙の習慣は南蛮貿易と共に盛んになり、嗜みとして流行しました。莨入れは叺(かます)という刻み莨を納める袋の部分と、煙管を入れる筒状の煙管袋から成り、一つ提げ莨入・提げ莨入・腰差莨入・懐中莨入等と呼ばれています。

腰に提げる形式や携行の方法によって様々な莨入が創られ、着物に帯という服装の文化の中で大きく育ちました。素材には革・布・木・竹・貴石・象牙等の例も見られ、金具や根付にも多くの材を用いて様々な装飾が施され、当時の趣向を反映した装身具としてもてはやされました。

軽く丈夫な鹿革は、主に叺や煙管袋に用いられました。鹿革に漆を塗る「地割印傳」「松皮印傳」等から徐々に「漆付技法」「燻技法」「更紗技法」によって模様や色が多様化し、洒脱さを競い合う世相を反映して装飾も華やかになりました。

平成26年12月6日~平成27年3月1日(この展示は終了しています。)